Beast Love
玄武 輝くんと言えば、バスケ部のエースで顧問を殴って退部して……土曜日に白虎町くんに呼び出されて、『カレイドスコープ』で少し出会った人だ。


差し出された手紙を大人しく受け取り、女子生徒と交互に見やる。


この人は、爽やかイケメンでスポーツマンの玄武くんに、ラブレターでも書いてきたのかな。



「あの、私が本当渡しても良いの? 自分で渡さなくて良いんですか?」


責めるような雰囲気ではなく、あくまで確認の為に首を傾げれば、女子生徒は唇を噛み締めた。


「私が渡しても、彼、絶対に受け取ってくれないから……。それに、今まで、中々このクラスに入れなかったけど、つい最近、女の子が転校して来たって聞いて……。だから、1番託しやすい貴方に渡したの」


「なるほど、確かに」

不良染みたこのクラスメートの誰かに渡しても、茶化されてネタにされて、終わりだろうもんなぁ。


最悪の場合、中身を見るだけ見て、捨てられちゃう可能性だってあるし。





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