Beast Love
ーー……そしてあっという間に時間は流れ、昼休みの屋上では。


「玄武くん、まだかなぁー」


ハルカくんを教室に残して、私は玄武くんに手紙を渡すため、屋上にやって来ていた。


学校の中で唯一空に近い場所から、桜島高校のグラウンドを眺める。


眼下ではサッカーに勤しむ学生たちの姿が。

「みんな、元気だなぁ〜」


……っとその時、屋上にひとつしか無い出入り口の扉が、ガチャリと開いた。


後ろを振り向くと、そこには長身イケメンの爽やかスポーツマン、玄武 輝くんがいた。


「お待たせ、遅くなってごめん。此処に来るまで、違う校舎の子たちに掴まっちゃって。あと、マサトとヨウにも掴まってさ」

玄武くんいわく、私と密会することを野生の勘で感じ取った彼らは、嫌がらせと言わんばかりに足止めをしてきたらしい。


……憎たらしいやつらめっ、っと心の中で唾を吐きながら、私は目の前にいる玄武くんに笑顔で手を横に振る。



「ううん、良いよいいよ。わざわざ時間取ってくれて、ありがとう。実はある人から預かったものを、玄武くんに渡したくって……」



「その、俺に渡したいものってなに?」
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