Liebe

「あの、実は、だな」

言いづらそうにシェルが口を開く。
なんだかそわそわしているその様子に、エリーは促すようにして問いかけた。

「サラさんのことですよね?」

「なっ」

驚いた様子のシェル。
シェルの様子がおかしくなるとしたら間違いなくサラ関係のことだろうと、エリーは確信していた。

そしてその確信は当たっていたようで、シェルはしばらく視線を泳がすと、観念したようにうなだれた。

「……おう」

やっぱり、とエリーは苦笑し、カフェオレを再び口に運んだ。

「……実はな、あのな、オレな、デ、デートを、だな」

「デート?」

「い、いや、デートっていうか、で、出かけるだけなんだけどさ、あの」

シェルが頭部を掻きむしり、辛そうに顔を歪める。

「明日……出かけるんだよ。二人で」

「デートですね」

「で、デート……ですかね」

顔を赤くして呟くように繰り返すシェル。
エリーはにんまりと笑顔を浮かべた。

「でも、今までもお二人で出かけることくらい、あるものだと思っていました」

「二人だけっつーのはなかったんだ。サラの用事にオレが勝手についていくことはあったけどよ」

そう言ってシェルはぐいっとカフェオレを一気に飲み干す。
カフェオレを一気飲みする人を見るのは初めてだ。
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