Liebe
「ウィリアムさん、雨が止みました」
「……そうか」
いつものようにそっけない返事が返ってくる。
しかしそんなことは気にならなかった。
窓の外に目をやると、テーブルに珈琲を置くカタッという音が聞こえた。
「明日の夜は一緒に外へ食べに行くか」
初めてこれほど長く声を聞いたのではないか。そう思うより先に、
「はいっ」
と元気よく返事をした。
にこにこしているエリーを見て、今度はウィリアムが窓の外に目をやる。
「……ここはお前の家だ。何も遠慮しなくていい」
予想外の言葉にエリーはウィリアムを凝視する。
少し居心地の悪そうな表情をしているのは、気のせいだろうか。
「ありがとうございます」
エリーはより一層頬が緩むのを感じた。