Liebe
「お待たせしました」
「おぉー」
エリーがテーブルにお皿を置くと、アンナが嬉しそうに歓声を上げた。
ダニエルもにこにこしていて、ウィリアムは……すごくわかりにくいが、機嫌はいいだろう。おそらく。
「何かリクエストがありましたらおっしゃってくださいね」
「さっすがエリー」
アンナがエリーをぎゅっと抱きしめる。
エリーは少し照れたように笑った。
「エリーもお酒飲もうよ」
「い、いえ。遠慮しておきます」
酒に弱いというわけではないが、エリーは酒の味があまり好きではなかった。
「そう?」と残念そうに言うアンナ。エリーはテーブルの端の方にひっそりと腰掛けた。
「ウィル、締切間に合ったの?」
「……」
アンナの問いに嫌そうな顔をするウィリアム。
ちょうど今、行き詰っているところなのだ。
「今回もメルヘンな話書いてるの?」
「あぁ」
「だったら泉に行くのはどう? 妖精がいるって聞いたことあるわよ」
「でも妖精って純粋な人にしか見えないって聞いたよ?」
「あら、じゃあウィルには見えないわね」
「おい」
ウィリアムは話を終わらせようにぐいっと酒を口に運ぶ。
友人や知人に作品のことを言われるのはやはり苦手らしい。
ダニエルは苦笑して、酒に手を伸ばした。