Liebe
「ふふ、リヒトは私の家族になってくれる?」
エリーの問いに、リヒトはキリッとした表情で首を今度は縦に振った。
いつもリヒトは、エリーの心を癒してくれる。
「暗くなってたらいけないよね。明日は街に出てお菓子屋さんにでも行こうか」
その言葉にぱっと瞳を輝かせるリヒト。
エリーは楽しそうに笑って、リヒトの頭を指先で撫でた。
――でも所詮、私は記憶も名前もない赤の他人だ。
心の奥のもやもやに気付かないふりをして、エリーは明日着ていく服をリヒトと共に決め始めた。