Liebe


「ありがとうございました」

店員に見送られ、エリーはお菓子屋を後にする。
リヒトは嬉しそうに飛んでいる。

エリーの持つ袋には三種類のクッキーにカップケーキ、そしてドーナツが入っている。
これでも厳選した方だと言わんばかりのリヒトの表情には納得がいかない。

まぁいいかとエリーはぶらぶらと街を歩く。
このまま真っ直ぐ帰るのもなんだかもったいないため、泉にでも寄ろうか。そんなことを考えている。

「リヒト、泉行きたい?」

エリーの言葉にリヒトは機嫌よく頷く。わかりやすい奴だ。


泉に辿り着いたエリーとリヒトは、見慣れない人影を見つけた。

少女だ。

白菫色のふわふわの長い髪に、黒いリボン。
黒地に白いフリルとリボンのドレスを着ていて、スカート部分が大きく広がっている。

儚げに整った顔立ち。
身長は子供のようだが、顔はどことなく大人びて見える。

声を掛けることもできず、エリーはその少女の姿に見とれていた。
泉をじっと見つめていたその少女は、ゆっくりとエリーの方を向く。

表情の読み取れない顔で、じっとエリーを見つめた。

「あ、あの……?」

エリーはハッとして声を掛けた。
泉で誰かに出会うのは、シェルに初めて会った時以来だ。

リヒトも不思議そうに少女を見ている。

「貴様は誰だ」

その小さな口から綺麗な凛とした声が発せられた。
しかし予想外の言葉遣いに、エリーの返答は遅れてしまう。
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