Liebe
「……あ、えっと、エリー……です」
「エリーというのだな。美しい名だ」
「ありがとうございます……?」
エリーは困ったようにお礼を言う。
正体不明の少女の登場に完全に動揺していた。
「私はリートだ。よろしく頼む」
「は、はい! よろしくお願いします!」
わけの分からないまま自己紹介をし合う。
戸惑っていると、リートは立ち上がって、エリーの傍までやってきた。
「時にエリー」
「は、はい」
「ここで会ったのも何かの縁だろう。頼みを聞いてくれないか」
「頼み……ですか?」
エリーは不思議そうに首を傾げてリートを見下ろす。
本当に子供のように小柄だ。
リヒトと顔を見合わせると、リヒトもまた首を傾げていた。
「あぁ」
「私にできることでしたら……」
「実は行きたい所があるのだが、この森を抜け出せなくてな。案内を頼みたい」
「案内、ですか。もちろんいいですよ」
「助かる」
「ふふ、こちらへどうぞ」
リートを連れて、エリーは来たばかりの泉を去る。
最初は驚いて戸惑ってしまったが、可愛らしい少女の案内ができるのはエリーも嬉しい。
森を抜けると、リートはお礼を言って立ち去った。
その後ろ姿を名残惜し気に見つめ、エリーは気を取り直して再び泉に向かった。