Liebe
夕暮れ時、空が徐々に紫のような、桃色のような色に変わっていく時刻。
用事を済ませたリートをエリーは最後に駅まで案内した。
一日一緒にいたからか、何だか名残惜しい。
「今日はありがとうございました」
「それはこちらの台詞だろう? 本当に助かった。どうもありがとう」
ふわふわの髪を揺らしながら、リートはぺこりと頭を下げた。
エリーはその仕草に笑みを返し、ふと思いついたように「あっ」と声を出した。
「リートさん、これ。よかったらもらってください」
そう言ってエリーが差し出したのは、リヒトと共に購入したクッキーの小さな袋。
そんなエリーに、リヒトは絶望を隠しきれない表情をした。
「……いいのか」
「もちろんです」
エリーの笑顔に、リートはふっと笑った。
その笑みにエリーが感動する間もなく、リートは表情を戻した。