Liebe
「無理はするな。記憶がないのは不安かも知れないが……今はここでの生活を楽しめばいい」
そしてウィリアムはエリーに目を向けた。
ずっとウィリアムを見ていたエリーと、目が合う。
「……それじゃあ、ダメか」
どこか不安そうに揺れるウィリアムの瞳に、エリーは首を振った。
「ダメじゃないです」
そう言って笑顔を見せると、ウィリアムはほっとしたように頬を緩ませた。
最初はウィリアムの表情を読むことができなかったエリーだったが、最近はわかるようになってきた。と、エリーは思っている。
「……お前は、笑顔が一番似合う」
そう言ってウィリアムは優しく微笑んだ。
見つめられたエリーは徐々に顔が熱くなる。
それを振り払うように、エリーは立ち上がった。
「そろそろ帰りましょう!」
ウィリアムは少し驚いたようにエリーを見上げ、同じように立ち上がった。
二人で海を横目に家へと帰っていく。
エリーは深く息を吸った。
「……よろしければ、朝ごはん一緒に食べませんか?」
様子を伺うように聞いてみると、ウィリアムは頷いた。
夕食は一緒に食べることが多くなってきたが、朝と昼は基本的に別々だ。
エリーは嬉しくなって、楽しそうに微笑んだ。