Liebe


「まずはどこへ参りますか?」

「そうだな……まずは街を一周したい。祭りの準備中とはいえ、神秘的な雰囲気は変わらないはずだ。店も品揃えが他の街と違って、自然で溢れた風情だ。しかしやはり祭りの準備中だからな。入ることができるかどうかはわからないが、雰囲気だけ感じられたら十分だろう。その後は街を囲む森の奥の方へ行ってみようと思っている。様々な動物がそこに住んでいてな……」

饒舌なウィリアムを見て、エリーは目を白黒させる。
そしてハッと気が付いた。

「ウィリアムさんは、この都の雰囲気がお好きなんですね」

その言葉に一瞬固まり、ウィリアムはごほん、と咳をする。
そして気を取り直すかのように口を開いた。

「……いや、小説の資料にと、思って、な」

「ふふ」

「……笑うな」

エリーの指摘に顔をほのかに赤くさせるウィリアムを見て、エリーは更にくすくすと笑った。


そしてそのまま、夜まで大地の都を見て回った。
祭りの準備中だったため立ち入れない場所もあったが、いつもより喋るウィリアムとの散歩はエリーの心を温かくさせた。

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