Liebe
リート達が去ると、アンナはにかっと笑ってウィリアムの肩を叩いた。
「ウィル。エリーは任せたわよ」
「ああ」
迷わず頷くウィリアムに、エリーはきょとんとする。何を任せるのだろう。
「何を不思議そうにしてんのよ。ダンスのペアのことよ」
「えっと、あの、よろしいんですか……?」
「……俺はお前と踊りたい。嫌だったら断ってもいい」
「いえ、嫌だなんて、そんな」
エリーはあたふたしながら一生懸命言葉を続ける。
「あの、よろしくお願いします」
ほのかに頬を桃色に染めながらエリーはウィリアムを笑顔で見る。
表情の乏しいウィリアムの口角もかすかに上がっている。
「決まったんならもういいわね。エリー、サラ、食べるわよ」
楽しそうにそう言ってエリーはアンナに引っ張られる。
サラもそれに続く。
向かう先はリヒトが既にお菓子をたくさん食べている小さな丸いテーブルだ。
お菓子が終わってしまう心配はなさそうだが、それにしてもリヒトは食べ過ぎている。
エリーは少し呆れたような視線を送った。