Liebe


「いきなりお菓子でもいいけど、まずは朝食にしないとね」

アンナはそう言ってサンドイッチに手を伸ばす。
エリーも手に取り、口に運んだ。

「美味しいです」

「でしょ? ここの食べ物は絶品なのよ」

得意気に笑うアンナに、エリーは尋ねる。

「あの、アンナさんとサラさんのパートナーは……」

「あぁ、ダンスの? 私はダニーよ」

「……シェル」

当然のように言う二人。
しかし二人がダンスに誘ったり誘われたりしている様子は見られなかった。

「もしかして、毎年そうなんですか?」

「まぁね。たまーに変わったりするけど、基本的にはいつも同じよ」

アンナの言葉にエリーは感心して頷く。
本当に仲が良いのだ、とエリーは温かい気持ちになる。

しかしどこか引っかかる。

「あ、来た来た」

明るいアンナの声にハッとする。
エリーはぼーっとサンドイッチを手にしていた。

アンナの方へ視線を移すと、そこには大きな鹿がいた。
先程までいなかったが、テーブルにも何匹かのリスが現れている。

「森のお茶会の日はね、森の動物たちが街にやってくるのよ」

「そうなんですか!」

エリーは笑顔でそっと近くのリスに手を伸ばす。
鼻をひくひくさせながら、リスは近付いてくる。

エリーはふと思い立ち、サンドイッチの一部をリスに差し出す。
サッと素早く奪われ、テーブルの端でそれを食べ始めた。

「可愛い」

エリーの言葉にアンナとサラが頷く。
リヒトがどこか不機嫌そうなのは、小動物に敵対心を抱いているからだろうか。

次々と集まってくる動物たちに、エリーは笑顔で戯れる。
森の愉快な仲間たちと共に、エリー達は食事をとることになった。

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