Liebe
第二十一話「降り注ぐ光」
丸くて温かいパンに、ハムや卵に新鮮なサラダ。
傍に置かれたカフェオレは、熱いためまだ飲めない。
エリー達は宿の一階で朝食を前に話をしていた。
「エリー、お祭りはどうだった?」
「とっても楽しかったです!」
隣に座るアンナの問いに笑顔で答える。
リヒトはエリーの皿の上に置かれたパンをこっそり頬張っている。
「それはよかった。また来るといい」
リートが相変わらずの無表情で言いながら、優雅な仕草でサラダを食べている。
その隣のシャールはリートの皿にパンを追加しており、シェルは眠そうな目をしながらも手と口だけが忙しなく動いている。
「これ追加ねー」
カイが楽しそうに食べ物を次々と追加していく。
サラはゆっくりと無言で朝食を味わっていて、ダニエルは微笑みながら皆の様子を見守っている。
アンナと反対の隣に視線を移す。
視線に気が付いたウィリアムが、かすかに目を細めてエリーを見つめた。
「……美味いか」
「はい、すごく美味しいです」
少しはにかみながらエリーが答える。
昨日の森のお茶会で、エリーはウィリアムと踊っている。
そのため、顔を合わせるのがどこか照れくさい。