Liebe


朝食を済ませ、エリーはリヒトと共に街をぶらぶらと歩いていた。

もう少ししたら、この緑豊かな街を出発しなくてはならない。
ウィリアムが朝から名残惜しそうにしていたのを思い出して、思わずくすっと笑ってしまう。


森のお茶会の時にはたくさんいた動物たちの姿が見えない。
祭りの時だけだと聞いていたが、どうやら本当のようだ。

レームには人形と小人がたくさん住んでいる。
祭りの終わった今となると、その姿を多く目にしていた。

リートやシャールのような美しい人形たちが街をのんびりと歩いていて、カイのような小人は小さな見た目にそぐわず、やはりどこか貫録のある雰囲気で祭りの片づけをしている。

その風景を心に刻みながら歩いていると、後ろから誰かに呼ばれた声がした。

「エリー」

その凛とした美しい声はエリーの好きな声だ。
エリーとリヒトが同時に振り返る。

「リートさん」

「先程ぶりだな」

「そうですね」

「確かもうすぐ出発だったな」

「はい……少し寂しいですが」

少し眉を下げながら笑うと、リートもまた少し肩を落としたような気がした。

「祭りの後はいつも寂しくなるな」

「本当ですね」

「お前と出会えて本当によかった」

「そんな、こちらこそですよ」

リートの言葉にエリーは頬を緩める。
そう言ってもらえるのはすごく嬉しい。
< 159 / 305 >

この作品をシェア

pagetop