Liebe
朝食を済ませ、エリーはリヒトと共に街をぶらぶらと歩いていた。
もう少ししたら、この緑豊かな街を出発しなくてはならない。
ウィリアムが朝から名残惜しそうにしていたのを思い出して、思わずくすっと笑ってしまう。
森のお茶会の時にはたくさんいた動物たちの姿が見えない。
祭りの時だけだと聞いていたが、どうやら本当のようだ。
レームには人形と小人がたくさん住んでいる。
祭りの終わった今となると、その姿を多く目にしていた。
リートやシャールのような美しい人形たちが街をのんびりと歩いていて、カイのような小人は小さな見た目にそぐわず、やはりどこか貫録のある雰囲気で祭りの片づけをしている。
その風景を心に刻みながら歩いていると、後ろから誰かに呼ばれた声がした。
「エリー」
その凛とした美しい声はエリーの好きな声だ。
エリーとリヒトが同時に振り返る。
「リートさん」
「先程ぶりだな」
「そうですね」
「確かもうすぐ出発だったな」
「はい……少し寂しいですが」
少し眉を下げながら笑うと、リートもまた少し肩を落としたような気がした。
「祭りの後はいつも寂しくなるな」
「本当ですね」
「お前と出会えて本当によかった」
「そんな、こちらこそですよ」
リートの言葉にエリーは頬を緩める。
そう言ってもらえるのはすごく嬉しい。