Liebe
次はどこに行こうか。
そう考えながら街を歩いていたが、もう日が暮れる時間だ。
そろそろ帰るべきだろうか。その時だった。
「ん?」
思わず声が出た。
何か光るモノが見えるのだ。
その光るモノは人ひとり入るのが限界であろう建物の間に入っていく。
見たことのある記憶はないが、あれはもしかしたら蛍かも知れない。そう思い、追いかけた。
それはエリーとの距離を一定に保っているかのように、スピードを上げたり落としたりしている。
からかわれているのだろうかと思ってしまうくらい、追いつくことができない。
エリーは意地になる。
ここまで来たら、その姿を拝まずに帰るわけにはいかない。
日が暮れていくことはもう頭になかった。
追いつかれないように一定の距離を保たれているのなら、それを逆手に取ればいい。
そう思い、エリーはスピードを緩めた。
光るそれもエリーに合わせるかのように動きが遅くなる。
やはり気のせいではないようだ。
じりじりと距離を詰めていく。
そしてエリーは突然スピードを上げた。
手の届く距離にまで到達する。
エリーは思い切りそれを掴んだ。
しかし潰してしまっては本末転倒だと、慌ててすぐに手を緩めた。
エリーは手をゆっくりと開く。
――少年だ。