Liebe
「親愛の印……という訳ではないが、これを受け取ってくれないか」
そう言ってリートはそっとエリーに贈り物を渡した。
それは、草花が綺麗に施された栞だった。
エリーとリヒトの目がキラキラと輝く。
「栞……」
「ああ。ウィリアムは確か作家だったろう。ダニエルも確か図書館にいたな」
「おっしゃる通りです」
「だから、本を読む機会も多いと思ってな」
その美しい栞を見つめながら、エリーはリートに尋ねる。
「もしかして、作ってくださったんですか?」
「ああ。気に入らなかったら申し訳ないが」
「気に入らないなんてことありません! とっても素敵です」
そう言ってエリーは栞を大切そうに胸に抱いた。
「……ありがとうございます。大切にさせていただきますね」
その言葉にリートはふっと口角を上げた。