Liebe
第二十三話「紅茶の繋がり」
エリーは朝からそわそわしていた。
今日から営業開始のリザの店に行く予定なのだ。
リヒトもやはりどこかそわそわしている。
お菓子に期待しているに違いない。
ウィリアムの分だけ朝食を用意し、エリーはいつものように書斎へ声を掛けに行く。
ノックをして、扉をゆっくり開ける。
ウィリアムは机の傍に立っていた。今気が付いたようにエリーにゆっくり視線を向け、開けていた引き出しを閉める。
「あの……朝ごはん、用意できました」
「……ああ」
少し残念そうな顔をして、エリーは言葉を続ける。
「それでは、行ってきますね」
「……ああ」
返事を聞いて、エリーは扉を閉める。
喫茶店へは昨日の夕飯の時に誘ったのだが、ウィリアムは行けないようなのだ。
ウィリアムの仕事が忙しいのはいつものことだったが、よほど追い詰められない限りはエリーに付き合うようになっていた。
今回はよほど追い詰められているのだろう。
無意識にため息をついて、エリーは出かける準備をする。
昨日の時点であれ程注目されていた店だ。
きっと朝から並ぶに違いない。
そう思い、エリーは早めに行くようにしようと思っていた。