Liebe
エリーの手のひらに乗っていたのは、小さな少年だった。
思い切り掴んでしまったことで目を回しているようだった。
エリーはじっとそれを見つめる。
これは一体何なのだろう。
身体から光を放っているだけでなく、少し見づらいが透明な羽根も生えている。
それを除けば普通の少年の姿をしていた。
「妖精……?」
小さく呟く。
その声に反応したように、少年はエリーを見上げた。
そして怒ったように頬を膨らませて睨みつける。
掴んでしまったことで痛みを与えてしまったのかも知れない。
「ご、ごめんなさい。痛かったよね」
エリーが申し訳なさそうにそう言うと、少年はツンとした反応を見せてから満足そうに笑った。
なんと感情表現のわかりやすいことか。
「君は妖精なの?」
エリーの言葉に少年は大きく頷いて、羽根をエリーに見せて飛んでみせる。
その無邪気な笑顔に心が洗われるような気持ちになる。
「あ、そうだ。これ食べる?」
お菓子屋からもらったクッキーがあることを思い出し、それを取り出して少年に見せる。
少年は嬉しそうに顔を輝かせる。
その様子にエリーは微笑んでクッキーを小さく分けて差し出した。