Liebe
「あいつ、何やってんだよ」
隣から声が聞こえ、エリーは視線を移す。
そこには、エリーと同じようにガラス窓から中を覗く少年の姿。
もどかしそうな表情をしている。
再び店内に視線をやると、リザがこちらを向いた。
エリーと目が合い、そして少年の姿を視界に捉える。
リザはどこか悲しそうに顔を歪ませ、そして店の奥に入って行ってしまった。
中を見ていた紫苑色の短い髪の少年は、今エリーの姿に気が付いたようにエリーを見る。
「あー、えっと、列はあっちですよ」
そう言って列を指す。エリーは苦笑しながら頷く。
「はい……先程まで並んでいたのですが、リザさんが心配で」
「姉ちゃん、あいつの知り合い?」
きょとんとした様子でエリーに尋ねる。
エリーは曖昧に頷く。
「昨日お会いしたばかりですが……」
「そっか。なぁ、あいつ絶対何かあったよな」
一声目の敬語はどこへやら。
少年は腕を組みながらうーん、と唸る。
「そうですね。リザさん、なんだか悲しそうでした」
「そう。そうなんだよ」