Liebe
「いらっしゃいませ!」
エリーが笑顔で対応する。
最初こそわたわたとしていたエリーだったが、午後になると慣れた様子で接客をしていた。
「カフェオレがお一つですね。かしこまりました」
リヒトもどうにか手伝おうと店内を飛び回っている。
行くべきテーブルにエリーを一生懸命導いているようだ。
街でよく見かけて挨拶を交わす人たちが来店する。
そのたびに頑張って、とエリーを応援してくれる。
応援されたらされるほど、なんだか頑張れるような気がした。
「姉ちゃん。はい、モンブラン」
「あ、はい。ありがとうございます」
テオも手際よくスイーツや飲み物を作っている。
その慣れた様子は、頼もしく感じる。
リザとの息もよく合っている。エリーはそう感じていた。
「おすすめはありますか?」
「甘いのがお好きでしたらこちらのケーキがおすすめですが、メニューのこの辺りの紅茶を召し上がるようでしたらチョコレートのスイーツがベストですわ」
リザも上手くお客さんに対応している。
忙しなく動いていたスタッフもどこか余裕ができているようで、休憩時間もちゃんと確保している。
エリーは楽しみながら働いていた。
ウィリアムと一緒に来れなかったのは残念だったが、来ていたらこうして働くことはできなかっただろう。
来れなくてむしろよかったのかも知れない。
そんなことを思いつつも、また今度一緒に来ようとエリーは心に決める。
先程から運んでいるケーキや紅茶がすごく美味しそうだというのも、その理由の一つだ。