Liebe
最初に向かったのは、街の中央にある噴水。
駅の次に人通りの多い場所と言っても過言ではない。
噴水を中心として様々な方面に道が伸びていて、あらゆる店が建っている場所だ。
「やっぱり、ここが舞台となっていたんですね」
「身近な場所の方が書きやすいからな」
「この街、とっても綺麗ですもんね」
「……そうだな」
エリーの勢いに圧倒されながらもついていくウィリアム。
並んでいる店をなんとなく眺めながら歩き、そしてエリーは雑貨屋の前で立ち止まった。
「少し入ってもよろしいですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
今日の目的はウィリアムを楽しませるだけではない。
何か贈り物を贈ろうと思っているのだ。
エリーは店内をぐるぐると回りながら、何を贈るかを考える。
ウィリアムはぼんやりとゆっくり店内を眺めていた。
「お待たせしました」
手に小さな袋を持ち、エリーはウィリアムに声を掛けた。
ウィリアムはゆっくりとエリーに視線を移し、そして店の外へ向かった。
「……図書館は、行かなくてもいいか」
真剣な面持ちでそんなことを言い出すウィリアム。
確かに、図書館が舞台となっている本を書いていた。
エリーはくすっと笑って頷いた。
「ダニエルさんがいますもんね」
「……まあ」
そして次の目的地は、決まった人しか利用していない街の奥の寂れた映画館に決定した。