Liebe


そうして妖精の少年と遊んでいて、エリーは突然ハッとしたように大きな声を出した。

「妖精くん、今何時!?」

突然のことに少年は驚くが、すぐに空を見上げる。
日が暮れるどころか、もう暗くなってしまっている。

非常にまずい。
夕食までには必ず帰るとウィリアムには言ってあるのだ。
約束を破ってしまったら、せっかく近付いた距離も離れてしまうことだろう。

「ど、どうしよう」

辺りを見回してみても、自分のいる場所がさっぱりわからない。
何も考えずに妖精の少年を追いかけただけでなく、外は暗くなってしまっている。

ただでさえ慣れない街なのに何をしているのだろう。
目に涙を浮かべるエリーを見て、妖精の少年はあわあわと困ったようにエリーの周りを飛び回る。

唯一出来た居場所にも、もう戻れないかも知れない。
戻ることが出来ても、見捨てられてしまうかも知れない。

エリーは涙を堪えて立ち上がる。

「謝らなきゃ」

まずはウィリアムに謝らないといけない。
たとえ居場所を無くすことになったとしても、今まで受けた恩を仇で返すようなことをしてはいけない。
エリーは手が震えるのを感じながら歩き出した。

妖精の少年もエリーについていく。
光輝くその姿は、エリーの心を癒していくようだ。

ただひたすらに歩く。
せめて見覚えのある道に出ることができれば……。

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