Liebe
「別れてしまって、よかったんですか……?」
エリーが真剣な顔で聞く。
アンナは、嬉しそうに口角を上げた。
「そうね。こんな気の利くいい男になるって知ってたら、別れない方がよかったかも」
困ったような顔をするエリーに、アンナは「冗談よ」と言って笑う。
「……今でも、ウィリアムさんのことは好きですか?」
エリーの質問に、アンナはふわりと微笑む。
エリーの瞳が、再び不安げに揺れた。
「……なーんてね。気付いてなかったとは思ってたけど、そんなことを聞かれるとは思ってなかったわ」
そう言ってアンナは左手をエリーに見せる。
不思議そうにその手を見ると、薬指に光る指輪の姿を見つけた。
「あっ」
「ふふ、結婚してるのよ、私。こう見えて結構幸せなの」
そう言ってアンナはまた悪戯っぽく笑った。