Liebe
家へ帰ると、玄関にアンナの靴が置いてあった。
まだ夕飯時ではないが、アンナがもう来ているのだ。
挨拶をしよう、とエリーはリビングへ向かう。
「いい加減にしてくれ」
鋭いウィリアムの声が聞こえ、エリーはリビングの手前で動きを止める。
そしてリヒトと二人、心配そうな顔をして目を合わせた。
「いい加減にするのはあなたよ、ウィル」
またしても鋭い声。
こちらはアンナの声だ。
喧嘩をしているのだろうか。
エリーはリビングに入ることもできず、その場を去ることもできずに立ち尽くす。