Liebe
「どういうつもり? エリーにあんなもの渡して」
「俺の勝手だろう」
「妹に指輪をプレゼントする兄なんている?」
「あいつは妹じゃない」
「あの子はエリーよ」
「お前の言うエリーはエリカのことだろう」
「当然でしょ」
「いつまであいつをエリカの代わりにするつもりだ」
「何言ってるのよ。誰よりも代わりが必要だったのはウィルでしょ」
「エリカはエリカだ。他の誰かが代わりになるようなことはない」
「エリーはあんたの妹よ」
「……やっぱり、そういうつもりで名前を」
「当たり前じゃない! あの子はそのために来たの! 絶対そう!」
「アンナ」
「そういう運命なのよ。だから海で倒れていたの。彼女は、あなたの妹の代わりになるためにここにやってきたのよ」
聞いていられない。
静かにその場を去り、部屋へ戻る。
リヒトは心配そうに見つめている。
電気も付けずに、ベッドに腰掛ける。
手の震えが、止まらなかった。