Liebe
「あの、それで」
「ああ」
「散歩から帰ってきたら、その、ウィリアムさんとアンナさんが言い合いをしていて」
「……聞いたのか」
「はい……ごめんなさい」
「いや、謝るのはこちらの方だ。すまない」
そう言ってウィリアムは真っ直ぐにエリーを見つめる。
「何か聞きたいことがあったら、遠慮なく聞いて欲しい」
「……はい」
そう言ってエリーは少し考えるように目を泳がす。
「あの、妹さんがいらっしゃるんですか」
質問のような、確認のような言い方をする。
ウィリアムは頷いた。
「……そうだな。まずは一通り説明するべきか」
そう言ってウィリアムは少し黙る。
「俺にはエリカという妹がいる。身体が弱くて、たまにしか外に出ることができなかった。祭りに連れだすと、すごく、はしゃいで……明るい子なんだ」
「……はい」
「周りの人間はエリーと呼ぶことが多かった。アンナがお前にその名を付けたのも、妹のことを想ってのことだろう」
「……あの、どうして」
エリーの声に、ウィリアムは少し震えたような声で続ける。