Liebe
「エリカは海が好きでな、その影響もあって、色も水色や青が好きだった」
「そうなんですね」
「ああ。身体は弱いが、性格は好奇心旺盛で活発な方だった。よく誰にも言わずに家を脱出していた」
先程同じようなことをしてしまっているエリーは、気まずそうに苦笑する。
「人より外に出る機会が少なかったせいか、本を読むのも好きだった。特にファンタジーを好んで読んでいた」
そう言ってウィリアムは目を伏せる。ウィリアムが物語を書いているのは、妹のエリカのことを考えてのことなのだろうか。
「この街のことをすごく愛していた。他の都ももちろん気に入っているみたいだったが、あまり外に出ないのに街の人々とすごく仲が良くてな。祭りはなるべく連れていくようにしていた。何度参加しても、エリカはいつも初めて見たかのように感動するんだ。森のお茶会でも、無理をしない程度だったが、楽しそうにしながら一緒に踊った。でも、エリカが一番楽しそうにしていたのは風の都の祭りの時だったな」
断片的に、しかし思い出が全く途切れていないかのように、ウィリアムは話し続ける。
エリーは相槌を打ちながら、エリカのことを知っていく。
自分と似ている部分もあるが、ウィリアムの言っていた通り、全く似ていないというのも頷ける。
リヒトが聞いていたらどう思うだろう。
エリーはそんなことを考えながら、ウィリアムの声に耳を傾けていた。