Liebe
第三十話「泡沫祭」
潮の香りで目を覚ます。起き上がると、目の前に大きな水槽。
エリーの泊まっている部屋もまた、青色に染まった幻想的な部屋なのだ。
枕元で眠るリヒトの姿を確認する。
こうして確認するのは、エリーのいつもの癖だ。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえる。
エリーは少し慌てたようにベッドから下り、そして扉を開けた。
「……おはよう」
そこには、サラの姿があった。
今回は一人一部屋で泊まっているのだ。
「おはようございます、サラさん」
「……朝ごはん食べたら、準備する」
「準備、ですか?」
「そう」
「もしかしてまた専用の衣装があるんですか?」
エリーの言葉に、サラは頷く。
今回はどのような衣装なのだろう。
エリーは胸を高鳴らせながら、朝食を食べに向かった。