Liebe


サラに連れられて、エリーは泊まっていた宿の別の部屋へ向かう。
そこで準備をするのだろうか。

そんなことを考えていると、サラの足がある部屋の前で止まった。
他の部屋とはどこか雰囲気が違う。泊まる部屋ではないのだろうか。


サラが扉を開けて、中に入っていく。
エリーもおそるおそるついていくと、そこには四人の人魚がいた。

部屋の中にいくつも穴が開いており、そこに水が流れている。
エリーは驚いたように動かなくなる。

すると、一人の人魚がエリーの手を取った。

「ビアンカさん」

「おはよう、エリー。さぁ、準備するわよ」

「は、はい」

言われるがままに動く。
服を着替え、そして顔や髪を触られる。

エリーは落ち着かない気持ちで身を委ねた。


丈の長い白いドレス。触り心地の良い素材が、身体のラインを強調している。
髪はぐるぐると巻かれ、全て上げている。

メイクも施され、エリーは大人っぽい印象になった。

「いいじゃない」

「そう、でしょうか」

「ええ。とっても素敵よ」

そう言って微笑むビアンカ。
エリーは恥ずかしそうに笑った。

隣で準備をしていたサラも終わったようで、エリーの傍に来る。

真っ赤なドレスが白い肌を引き立たせている。
何をしても美しいサラは、今回も美しい。

「サラさん……素敵です」

「……ありがとう。エリーも、素敵」

そう言って微笑む。
エリーははにかみ、そして二人で部屋を出て行った。

まるでこれから大きなパーティへ行くようだ。
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