Liebe
「ん……」
目を覚ますと、そこは列車の中だった。
「起きたか」
「……ウィリアム、さん」
寝ているエリーの前の席にウィリアムは座っていた。
ダニエルやサラ、シェルの姿は見当たらない。
「……あいつらは別の席だ」
エリーの視線に気づいたように、ウィリアムは補足する。
「あの、私……」
「倒れたんだ。船の上で」
「そう、なんですね。ごめんなさい」
「お前は悪くない」
「でも、皆さん船で帰るの楽しみにしていたんじゃ」
「それは違う」
「……?」
「皆、お前の喜ぶ顔が見たくて船を選んだんだ。だから、何も問題はない」
そう言ってウィリアムは心配そうに眉を顰める。
「……具合は、どうだ」
「……大丈夫です。ご心配をお掛けしました」
そう言ってエリーはゆっくり起き上がる。
窓際でリヒトが心配そうにエリーを見つめている。