Liebe


準備を終え、リヒトもポケットの中に突っ込んだ。

ウィリアムと共に玄関を出る。
すると、そこにはアンナとダニエルの姿があった。

アンナの手には花がある。
水色の花と、薄い桜色の花。

アンナはエリーと目を合わせようとしない。
黙って俯いている。

「エリーちゃんも何か花買ってく?」

「あ、はい……お願いします」

ダニエルは優しく微笑む。

花屋に寄り、エリーは花を買った。
白い花だ。

何色にするか迷ったが、彼女の好きな色や彼女らしい色はアンナの用意したもので間違いはないだろう。
エリーはエリカのイメージを抱いていた白色の花を選んだ。

「……行くか」

ウィリアムの言葉に、三人は頷く。

アンナは何も喋らない。
いつもと雰囲気の違う皆の姿に、エリーは胸の奥がぎゅっと苦しくなった。



大きな草原のような爽やかな場所に、エリカの墓はあった。
墓石にエリカ・フローライトと書いてある。

花を供え、四人は墓に向き合った。

ウィリアムは表情が読めず、ダニエルは悲しげに微笑んでいる。
アンナは静かに涙を流している。

エリーは、エリカに話しかけることにした。
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