Liebe
「よぉ、エリー」
列車から降りて、聞きなれた声に顔を上げる。そこにはシェルがいた。
「悪いな。サラは店番で来られねぇって」
「大丈夫ですよ。来ていただいてありがとうございます」
「お前の保護者らに頼まれてっからな」
肩を竦めて言うシェルに、エリーは首を傾げる。
「じゃあ行くか。どこから配るんだ? 案内するけど」
「あ、それでは、街の中央まで連れていっていただけますか」
「街の中央?」
「はい!」
怪訝そうな顔をするシェルに、エリーは楽しそうに笑った。
街の中央にたどりつくと、エリーはバッグから道具を取り出し、準備を始めた。
シェルはそれを興味深そうに見ている。
「風船?」
「はい」
エリーが取りだしたのは、たくさんの赤い風船。
そして風の都で買った、簡単に空気を入れることのできる小さな棒のような道具。
それを風船に入れると、すぐさま空気が入り、風船は大きくなった。
「うお、すげえ」
初めて見たのか、シェルが驚いたようにそれを見ている。
赤い風船に全て空気を入れ終えると、エリーはその風船を全て離した。