Liebe
「こんにちは」
エリーが声を掛けると、二人は全く同じような仕草で驚いたように振り向いた。
「こんにちは、エリー」
「おっす」
にこやかな二人に、エリーも笑いかける。
「お二人もお祭りの準備ですか?」
「ええ。もちろん。私も店を出すのよ」
「そうなんですね」
腕を組み、胸を張るようにしてふふん、と笑う。
「当たり前でしょう。この街で最も優れた喫茶店をやっているのよ」
「最も優れてるかどうかは別として、食いもんと飲みもんを提供するつもりなんだ」
テオがリザの態度に呆れたように苦笑する。
「何を出されるんですか?」
「ベビーカステラと、うちのブレンドの紅茶メインで色々な飲み物を出すつもりよ」
得意気に言うたけあって、確かに美味しそうだ。
エリーとリヒトは目を輝かせる。
「わぁ、いいですね」
「屋台の見た目にもこだわるつもりよ。他の都からもたくさんの人が来るもの。お粗末なものは出せないわ」
「意識高ぇよな」
「うるさいわね」
「そうなんですね……もしかして、リザさんのご家族の方も来られるんですか?」
エリーの問いに、リザが視線を落とす。