Liebe
「でも一度探検したくらいじゃ分からないわよね」
意味深な笑みを浮かべるアンナ。
エリーはそれを不思議に思いつつもゆっくり頷く。
「そうなんですが……前回は迷子になってしまって、ウィリアムさんに迷惑を掛けてしまって」
しゅん、と小さくなるエリーの頭をリヒトが体全体を使って撫でる。
慰めているつもりなのだろう。
「一人で見知らぬ街を探検したらそりゃあそうなるわよ。だからね、エリーに案内人を紹介しようかな、と」
「案内人、ですか」
「そう! 本当は私が案内してあげたいんだけど、しばらく時間取れそうになくてね。だから私もウィリアムもすごく信頼してる人を紹介するわ」
ウィリアムがすごく信頼している人と言われ、エリーは純粋に興味を抱いた。
すごく失礼な想像だが、ウィリアムにはアンナしか友人がいないと思っていたのだ。
心の中でそっとエリーはウィリアムに謝った。