Liebe
「ウィルは?」
「あ、えっと、お部屋にいると思います」
「まーた書いてんのね?」
アンナの呆れた表情に、エリーは苦笑した。
海へ行ったことがよかったのか、ウィルは今日調子が良いようなのだ。
祭りへは行くと言っていたが、書けるところまで書いてしまいたいのかも知れない。
「まぁいいわ。準備しましょう」
そう言ってアンナが悪戯っぽく微笑む。
エリーは皆に紅茶を振る舞い、女性五人はエリーの部屋に集まった。
「今年も専用の衣装を用意させていただきましたー」
じゃじゃーん、とアンナがバッグを開けて洋服を見せる。
エリーは目を輝かせて中を覗き込む。
用意された洋服は、透明のような繊細な素材で出来た色とりどりのワンピース。
そしてエリーに差し出されたのは桜色のワンピース。
足元まで丈はあるが、脚が少し透けて見える。まるで妖精の服のようだ。
「今まで水色ばっかり着せちゃってたけど、あんたは白っぽいワンピースがよく似合うわ」
そんなことを言ってアンナは笑った。
エリーがワンピースを着ると、まるで本当に妖精になったような気分になった。
先程まで寝ぼけていたリヒトも、絶賛するように拍手をしている。
エリーは少し頬を赤らめながらリヒトに礼を言った。
同様にワンピースを着る皆の姿を見ると、まるでどこか違う世界へやってきたような感覚がした。