Liebe
玄関の扉を開けると、そこにはたくさんの妖精の飛ぶ姿があった。
一同は黙りこくり、しばらくその光景を眺める。
「……珍しいわね、いつもはもっと遅い時間に来るはずなのに」
「エリーちゃんを迎えに来たみたいだね」
呆然とするアンナに、ダニエルが優しく目を細める。
「エリーちゃんは妖精だもんね、ウィル」
「いちいち俺に振るな」
そんな言葉を交わす二人の前をエリーが通っていく。
妖精たちの下までやってきて、そして上を見る。
リヒトも嬉しそうに妖精の輪に入っていった。
「おーい」
遠くから走ってくる一人の姿があった。カイだ。
仕事の関係で、朝から来ることができなかったのだ。
「悪いな、遅くなって」
「いいんですよ、カイ様」
「詫びはクレープでいいぞ」
「はいはい。なんでも奢りますよ」
爽やかに笑って、カイは改めてエリー達にも小さく謝罪をした。
「屋台の方へ行こう」
うずうずと言うリートに、皆が頷く。
エリーがリヒトを見ると、リヒトは満足そうにエリーの頭に乗った。
「あら、エリーってば懐かれたみたいね」
「え?」
アンナの言葉にエリーは驚いたような顔で振り向く。
そんなエリーに、アンナが不思議そうな顔をした。
「どうしたの?」
「あ、いえ……」
そう言ってリヒトと顔を見合わせる。
そして二人同時にくすっと笑った。