Liebe
移動を続けている間も、ずっと妖精たちは空で踊っている。
かなり神秘的な光景だ。
しかしどうやら妖精の舞台はそれだけでないようだ。
「そろそろかしら」
アンナの言葉に、エリーは首を傾げる。
一体何がそろそろなのだろう。
そんなことを考えていると、暗くなってきた空と共に、屋台や建物の光が次々と消えていった。
皆の姿が見えにくくなり不安に思うエリー。
そんなエリーの手を、ウィリアムが握った。
少し驚いた顔で、エリーは握りかえす。皆は空を見上げているようだ。
エリーも同様に上を見る。
頭に乗っていたリヒトが、エリーの頭から離れていく気配が感じられた。
「あっ」
思わず声を出す。
突然空が美しく輝き始めたのだ。
空で妖精たちが光を放ちながら踊っている。
まるで空に浮かぶ星のように、妖精たちは光り輝いていた。
それに見惚れるエリーたち。
その光景は、空の散歩の最後の大舞台。
少し切ないような気持ちと共に、エリーはただただ空を見上げていた。