Liebe
「どうする?」
「是非お願いしたいです」
街の探検はしたかったが、前回のこともあり再び探検したいとは言えなかった。
誰かと一緒で、それもウィリアムがすごく信頼している人ならば、心置きなく探検ができるだろう。
というのもあったが、エリーは純粋にその案内人に会ってみたいと思ったのだ。
「ふふ、りょーかい。じゃあ急で悪いけど、明後日午前十時に駅で待ち合わせでもいい?」
「は、はい! もちろんです」
エリーが瞳を輝かせる。
家にいる時は家事をするかリヒトと戯れるかだけだ。
急の方が嬉しい、と思ったエリーは元々活発な性分なのかも知れない。
「じゃあその人の特徴と名前だけ教えておくわね。その時間なら駅にはそんなに人はいないと思うからすぐ分かると思うわ」
「はい! お願いします!」
エリーはまたふわりと笑い、家に帰ったら早速ウィリアムに許可をもらおうと決めた。
リヒトに作ってあげようと思っていたクッキーの存在は、とっくに頭の中から抜け落ちていた。