Liebe
「……ねぇ、レイラってもしかして、この子のこと?」
「え?」
アンナが言うと、ティーナは驚いたような顔をする。
「もちろんです。私が、私がレイラ様を見間違うはずありませんっ」
そう言って縋るようにエリーを見る。
エリーはいまだ放心状態から抜け出せていない。
その様子を見て、ウィリアムが一歩前へ出る。
「……日を改めて話をしませんか」
ウィリアムの言葉に、ティーナが困ったような顔をする。
「貴方も興奮していらっしゃるようですし、彼女も、少し落ち着く時間が必要です」
そう言ってウィリアムはアンナとダニエルの方を向く。
「……エリーを連れて先に帰っていてくれ」
頷くアンナとダニエル。
その場を離れようとすると、エリーは我に返ったようにウィリアムの服を掴んだ。
無意識の行動なのか、混乱している上での行動なのか。
ウィリアムはエリーを落ち着かせるように視線を合わせる。
「……大丈夫だ」
そして、柔らかい表情でエリーの頭を撫でた。
エリーは泣きそうな顔から少し安心したような顔をして。
――意識を手放した。