Liebe
涼しい風を頬に感じ、重たい瞼を上げる。
ぼやけた視界で見つめた先にあったのは白い縁の窓。
薄い水色のカーテンがほのかになびいていた。
ゆったりと起き上がり、蜂蜜色の瞳で周りを見渡す。
意識がだんだんはっきりしてくる。
大きな本棚に、シンプルな机。そして、今横になっているベッド。
目を覚ましたエリーは冷静に部屋を見ていた。
まるで初めて来た時のように、知らない部屋にいるような感覚だ。
ティーナと名乗った彼女はきっと自分の事を知っているのだろう。
しかし自分は全く彼女の事を思い出していない。
そんなことをぼんやりと考え、周りを見渡す。
リヒトはどこに行ったのだろう。姿が見えない。
エリーはまるで自分が空っぽになってしまった気がした。
一筋の涙が頬を伝った。