Liebe
「……ウィリアムさん」
階段を下り、ウィリアムのもとへ向かう。
テーブルの上には、カフェオレが用意されていた。
エリーはゆっくり座り、カフェオレを一口飲む。
ウィリアムは黙ったままだ。
「……エリー」
「……はい」
ウィリアムは、ゆっくりと手をテーブルの上に伸ばした。
その仕草を、エリーが不思議そうに見る。
テーブルに置かれたのは、指輪だった。
「指輪……」
「俺の用意したものじゃない」
ウィリアムはそう言って、そして息を吐く。
「……お前が海で倒れていた時に、大切そうに握りしめていたものだ」
その言葉に、エリーは胸が苦しくなる。
指輪。海。大切。
ふと吐き気を覚え、エリーは口を手で押さえる。