Liebe
自分の事ばかり考え、リヒトのことを全く気にしていなかった。
いつから様子がおかしかったのか。
そういえば、最近は姿をあまり見ていなかった気がする。
今のエリーの胸の中には、後悔という想いしかなかった。
どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう。
どうして自分のことばかり考えていたのだろう。
泉に辿り着くと、そこにはいつものように妖精たちが集っていた。
走ってきたエリーの姿に、どこか驚いたような表情を見せている。
そしてエリーの手の中で苦しそうにしているリヒトの姿を見つけ、すぐさま飛んできた。
「お願い……リヒトを助けて」
震えた声を出す。
いつもなら少し距離を置いて見守るだけだったため、リヒト以外の妖精とこうして話をするのは初めてだ。
エリーは必死だった。
妖精たちはリヒトをエリーから受け取り、そしてお互いの顔を見合わせる。
その様子をエリーは縋るように見つめる。
エリーは妖精を助ける方法なんで知らない。他に手段がないのだ。
妖精たちは深刻そうに、そしてどこか辛そうに顔を歪め、エリーから目を逸らす。
「助けられるよね……?」
少し掠れた声は、妖精たちに届いただろうか。
妖精たちはエリーを見て、そして首を横に振った。
その様子に、エリーは絶望したように目を見開く。
リヒトは変わらず苦しそうに、妖精の手の中でうずくまっている。
妖精たちはそのまま木々の奥の方へ向かう。