Liebe


「こんにちは」

ちょうど視界に一人の青年が映り込む。
当然、リヒトではない。
エリーは一瞬驚きで固まった。

「こ、こんにちは」

千草色の髪に、眼鏡の奥に見えるたれ目に優しそうな印象を受ける。
全体的に柔らかい雰囲気だ。
きっとこの青年がアンナの言っていた案内人なのだろう。

「びっくりさせちゃったかな。ごめんね」

申し訳なさそうに柔らかく笑う青年。
エリーは慌てて首を振る。

「僕の名前はダニエル。ダニエル・インカローズ」

丁寧にお辞儀をして挨拶をするダニエル。
エリーもつられて丁寧にお辞儀をした。

「私はエリーです。ウィリアムさんのお家でお世話になっています」

「エリーちゃん、ね」

そう言って眉を下げて微笑み、エリーの頭を優しく撫でる。

「よろしくね、エリーちゃん」

優しそうな人であることは十分伝わった。
あのアンナとウィリアムが信頼している人だと聞いていたが、なんだか納得するような人柄が感じられる。

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