Liebe
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
美しい緋色の瞳に見つめられるのは、相変わらず慣れない。
サラは悲しげに微笑み、そしてエリーの頭を撫でた。
エリーは困惑したようにサラを見る。
「……大丈夫」
シェルと同じ言葉だ。エリーは小さく頷く。
「きっと、戻ってくる」
その言葉に、エリーは目を見開く。
まるで、リヒトのことを知っているかのような口ぶりだ。
目に涙を溜め、エリーは少し微笑んだ。
「……はい」
そんなエリーとサラの様子に、シェルが困ったように頭を掻く。
三人は火炎の陣のやっていない街の中を、ゆっくりと歩いて見ていくことにした。
炎の熱さが、エリーの冷たくなった心を温めてくれた。