Liebe
「レイラ様は、小さい頃から明るく前向きな方でした」
目を潤ませながら話しはじめるティーナ。
エリーは拍子抜けしたような顔をして、そして苦笑した。
「あの、できれば、私の小さい頃ではなく、海辺に倒れていた前後をお話しいただけると」
「あ、そ、そうですよね。失礼いたしました」
ティーナが焦ったようにカフェオレを一口飲む。
「あの日は、カミラ様――貴方のお母様の提案で、旅行に出かけることになっていました」
ティーナが話し始め、エリーの頭の中にその情景が浮かんでくる。
きっとこんな感じ、というような、想像でしかないが。
「旅行に出掛けられたのはレイラ様と、レイラ様のご両親、そして婚約者のロイ様。私もカミラ様にお誘いいただいたのですが、留守を預からせていただきました」
クリーム色のワンピースを着る自分。
その隣に、榛色の瞳をした男性の姿。
後ろには優しく微笑む夫婦。
空も海も真っ青で、まるで妖精がいるかのようにキラキラと輝いていた。
澄んだ空気に包まれた、素敵な船旅。
ティーナは言いにくそうに唇を噛む。