Liebe
「……私、出ていきます」
ウィリアムが目を見開く。
そして目を伏せ、再び海を見た。
「そうか」
「はい」
「……お前の決めたことなら、誰も止めはしない」
「……はい」
二人の間に、温かい風が吹く。
「いつまでもウィリアムさんのお家でお世話になるわけにはいきません。それに、ティーナをもう一度一人にすることなんて、できません」
エリーの言葉に、ウィリアムがふっと笑う。
「お前らしいな」
「そう、でしょうか」
「ああ」
二人の想いが、風に乗って海へと伝っていった。