Liebe
「……ウィリアムさん」
「あぁ」
エリーが嬉しそうに見上げると、ウィリアムはちらっとエリーに視線をやり、無表情のままダニエルに視線を移した。
「……悪かったな」
「いいよいいよ。僕も楽しませてもらったし。また散歩しようね、エリーちゃん」
「はい! 是非!」
「……行くぞ」
そう言ってウィリアムは後ろを向き歩き出した。
エリーは慌ててダニエルに挨拶をして、ウィリアムを追いかける。
ダニエルはにこにこ笑いながら二人に小さく手を振っていた。
「ウィリアムさん、今日はお家とは反対方向のいろんなお店に行きました」
「……そうか」
「フランメっていう街のことも聞いて、雑貨屋さんでフランメのガラス製品を見てきました」
「……それ、買ってもらったのか」
「え? ……あ、そうです!」
一瞬何を聞かれているのかわからなかったが、すぐにエリーは首元のガラスのネックレスに手を添える。
見ていないようでよく見ているんだな、と、さすが作家だ、とエリーは感心した。