Liebe
「あとは、風車も見ましたし、空も飛んだんですよ!」
楽しそうに話すエリーを一瞥するウィリアム。やはり無表情のままだ。
「……その格好でか」
その言葉にきょとんとして、エリーはウィリアムを見上げる。
そして自分の着ているものが新品のワンピースであることを思い出し、エリーは顔を赤らめた。
「……風車の草原は街より風が強い」
「へ? は、はい」
「……ひらひら以外のものも買っておけ」
ウィリアムの言うひらひらとは、おそらくワンピースのことだろう。
エリーはまだ少し顔を赤らめながら、照れたように微笑んだ。
「……そうします」
家に到着して、先に階段を上り始めたウィリアムが振り返ってエリーの目を見つめる。
こうしてちゃんと目を合わせるのは珍しい。エリーはきょとんと見つめ返す。
「……今日は、楽しかったか」
思いがけない質問にエリーはまたしても目を丸くしたが、ぎゅっと拳を握り笑顔で答えた。
「はい! とっても楽しかったです」
「……そうか」
そう言うウィリアムの表情が少し柔らかくなったように感じて、エリーはウィリアムの顔を凝視する。
よかったな、と言われているような気がして、エリーは嬉しくなった。
ウィリアムはそのまま部屋へと向かい、エリーもにこやかに部屋へと向かった。
「ふふ」
ご機嫌で部屋の扉を開けると、そこには予想していた通り、拗ねて膨れてしまっているリヒトの姿があった。