Liebe



食材を買い終え、エリーとリヒトはのんびりと街を歩いていた。
もうダニエルに案内してもらっているし、今日は慎重に歩いている。迷子になることはないだろう。

「あ、あそこって、リヒトと初めて会った時の」

そう言って指さしたのは人が一人入るくらいの建物のちょっとした隙間だ。

その言葉を聞いて、リヒトは意地悪そうな笑顔をエリーに見せて隙間に入っていく。
予想外の行動だったが、姿を見失わないように慌てて追いかけた。

「ちょ、ちょっと、待ってよ」

今日はまだ暗くないから大丈夫そうだが、感じる既視感に不安を煽られる。
困ったような表情でついていくエリーだったが、リヒトはちゃんと待ってくれているようで、少しずつ進んでくれている。

「ねぇ、どこに行くの?」

道にぶつかりそうになる荷物を気にしつつエリーが尋ねる。
リヒトは人差し指を口元に持っていき、ニッといい笑顔をする。

教える気はなさそうだ。
エリーは仕方なさそうに笑い、ついていく。


しばらく進むと、森のような林のような、木々に囲まれた場所に出た。
先程まで街中にいたエリーは意外そうにその光景を眺めながら、まだ止まる気配のないリヒトの後をついていく。

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